備蓄米と聞くと、「美味しくないのでは?」と思う人も多いかもしれません。
実際に、長期間保存されることで新米とは異なる風味や食感になることがあります。
しかし、適切な保存方法や調理の工夫をすれば、備蓄米も十分美味しく楽しむことができます。
本記事では、備蓄米の現状や保存方法、そして美味しく食べるコツについて詳しくご紹介します。
- 備蓄米とは何か? その目的や重要性について簡単に解説。
- 長期間保存されるお米の特徴や、保存中の変化について紹介。
- 「備蓄米はまずい」と言われる理由を考察。
- 備蓄米を美味しく食べるための調理方法や、適した料理のアイデアを紹介。
なぜまずいと言われるのか?備蓄米の現状
政府による備蓄米の放出とは?
備蓄米とは、政府が食料の安定供給を目的として保管しているお米のことです。
自然災害や不作による米不足、価格の急激な変動を防ぐために、一定量のお米を備蓄し、必要に応じて市場に供給します。
最近、米の価格が高騰し、消費者の負担が増していることから、政府は備蓄米の放出を決定しました。
この措置によって市場の流通量が増え、価格が安定することが期待されています。
政府備蓄米の運営については農林水産省の資料がありますので知りたい方はこちらを参照してください。
備蓄米はどこにある?

備蓄米は全国各地の指定倉庫で厳重に管理されています。
これらの倉庫は、温度・湿度が一定に保たれる環境で、お米の品質を長期間維持できるように設計されています。
また、備蓄米の貯蔵方法としては、「低温貯蔵」が一般的です。
倉庫内の温度を15度以下に保つことで、お米の鮮度をできるだけ長く維持できるようになっています。
保存方法と品質管理
政府が管理する備蓄米は、厳しい品質管理のもとで保管されています。
備蓄米になる品種

備蓄米には、長期間の保存に適した品種が選ばれます。
一般的に、粘り気が少なく、比較的硬めの品種が備蓄米として採用されることが多いです。
こうした品種は、長期保存しても品質の劣化が少なく、炊飯時の食感が保たれやすいという特徴があります。
代表的な備蓄米の品種としては、以下のようなものがあります。
また、備蓄米として採用される品種は、政府の品質基準に基づいて選定され、厳格な保存管理のもとで保管されます。
そのため、一般の古米と比べて品質が安定しており、適切な調理を施せば美味しく食べることができます。
備蓄米の味は?

「備蓄米はまずい」という声を聞くことがあります。
実際には、備蓄米は最大5年間保存されることがあり、長期間保管されることで風味や食感に変化が生じることがあります。
具体的には、水分が少なくなり、炊き上がりがパサついたり、香りが弱くなったりすることがあります。
しかし、備蓄米は適切な環境で保存されており、品質を維持するために低温管理や害虫対策が施されています。
さらに、炊く前に適切な処理を行えば、古くなったお米でも十分に美味しく食べることが可能です。
美味しく食べる具体的な方法は下の記事に記載していますので参考にしてください。
備蓄米を正しく理解し、適切に調理すれば、「まずい」という印象を払拭することができるのです。
「まずい」と言われる備蓄米をおいしく食べる方法
備蓄米は長期保存されるため、新米と比べると風味や食感が変わることがあります。
そのため、「まずい」と感じる人もいるかもしれません。しかし、工夫次第でおいしく食べることができます。
ここでは、備蓄米の味の変化の原因やおいしく食べるための方法をご紹介します。
備蓄米の味の変化の原因
備蓄米が「まずい」と感じられる主な理由は、長期間の保管による以下の変化によるものです。
しかし、適切な炊き方や調理方法を工夫すれば、備蓄米でも十分においしく食べられます。
炊き方を工夫する

備蓄米をおいしく食べるためには、炊き方に注意することが重要です。
古米は新米に比べて水分を吸収しにくいため、美味しくするためにはいくつかのポイントがあります。
炊飯時に少しの工夫を加えるだけで、備蓄米でも十分おいしく食べられます。
浸水時間を長めにする(1時間程度)
備蓄米は長期間保存されることで水分が抜けがちです。
そのため、炊く前に十分な時間水に浸しておくことで、お米が水を吸収し、炊き上がりがふっくらします。
理想的な浸水時間は1時間程度とされていますが、30分以上でも効果はあります。特に冬場は水温が低いため、より長めの浸水が推奨されます。
水を多めに加える(通常の1.1倍程度)
備蓄米は長期間保存されることで水分が抜け、炊き上がりがパサつきやすくなります。
そのため、炊飯時に通常よりも1.1倍程度多めの水を加えることで、ふっくらとした仕上がりになります。
適切な水加減を見極めるには、お米の状態を観察することが重要です。
もし炊き上がりがまだ硬い場合は、次回の炊飯時にさらに水を増やして調整しましょう。
また、炊飯器の種類によっても最適な水の量は異なるため、数回試して好みの食感を見つけるのが良いでしょう。
さらに、炊飯後にしばらく蒸らすことで、余分な水分が均一に行き渡り、より美味しくなります。
特に炊きたてのお米は、水分が偏りやすいため、炊飯器のフタを閉めたまま10分程度蒸らすことをおすすめします。
備長炭を使ったお米の炊き方
備蓄米の風味を向上させるために、お米を炊く際に「備長炭」を加える方法があります。
備長炭には浄水効果があり、米を炊く水をきれいに濾過してくれるのです。
この方法を取り入れることで、ツヤと甘みのあるごはんが楽しめます。
また、ネットでは古米を再生させるためにみりんや酒を加える方法も紹介されていますが、これは注意が必要です。
みりんや酒を加えると、調理されたごはんになってしまい、白米の良さが失われてしまいます。
さらに、氷を入れると水加減が不安定になり、塩を加えれば塩むすびになってしまいます。
はちみつを使う場合も、炊飯器の圧力弁に影響を与える可能性があるため、避けたほうが良いでしょう。
こうした方法が多く提案されていますが、現代の炊飯器では備長炭が最もおすすめです。
備長炭を使うことで、炭の浄水効果により米が吸水しやすくなり、よりおいしいごはんが炊けます。
これは古くから伝わる復活法でもあります。
炊飯器で使用する際は、親指ほどの小さめの備長炭が理想です。
大きい炭は内釜を傷める可能性があるため注意が必要です。
また、竹炭はすぐに劣化しますが、備長炭は長持ちします。
何度も使用する場合は、定期的に煮沸して木目に詰まった汚れを流すことで、効果を持続させることができます。
ぜひ、備長炭を取り入れて、より美味しいごはんを楽しんでみてください。

料理に活用する

炊いた備蓄米は、さまざまな料理に活用することでさらにおいしく食べることができます。
例えば、チャーハンや雑炊にすると、パサついた食感が逆に活かされ、程よい食感の仕上がりになります。
チャーハンの場合、備蓄米の水分の少なさが炒めた際のパラパラ感を引き出し、ふっくらとした仕上がりになります。
一方で雑炊では、お米がスープを吸収し、柔らかくなりながらも粒の食感をしっかりと感じられます。
リゾットにすると、お米の硬さが程よいアクセントとなり、濃厚な味わいを楽しむことができます。
特に、チーズやクリーム系のリゾットと相性が良く、しっかりとした食感を保ちつつ、ソースとの絡みも良くなります。
また、コンソメベースや和風出汁を使ったリゾットもおすすめです。
さらに、古米は水分が少ないため、寿司米としても適しています。握りやすく、シャリがほどけやすい特徴があるため、魚の味を引き立てる役割も果たします。
寿司屋では、あえて新米とブレンドして使うこともあり、寿司の風味を強調する重要な要素となります。
酢の吸収がよく、口の中でほぐれやすいので、にぎり寿司や巻き寿司にも向いています。
また、炊いた備蓄米を使っておにぎりを作る際には、水分が少なめのため、通常よりも少し水を加えて炊くことで適度な柔らかさを保つことができます。
具材として梅干しや昆布、鮭などの風味の強いものと合わせると、より美味しく仕上がります。
備蓄米はいつまで美味しく食べられる?

備蓄米は最大5年間保存されることが一般的ですが、適切に保存されていれば、それ以上の期間でも食べることは可能です。
長期間保存されることで、お米の成分には以下のような変化が見られます。
まず、水分量の減少による食感の変化です。
新米に比べて備蓄米は乾燥が進み、炊き上がりがパサつきやすくなります。
そのため、適切な水加減を調整することが重要です。
次に、デンプンの変性による風味の変化が挙げられます。
保存期間が長くなると、お米のデンプンが劣化し、甘みや粘りが減少することがあります。
また、保存環境によっては酸化が進み、古米特有のにおいが発生することがあります。
このような場合は、お米を炊くときに備長炭を入れて炊くことで、においを軽減することができます。
ただし、炊き上がりが黄色っぽくなっていたり、異臭がしたり、カビが生えている場合は、品質が大きく劣化している可能性があるため、使用を控えた方が良いでしょう。
まずいから旨いへ!備蓄米を美味しくするポイント
備蓄米は、政府が食料の安定供給を目的に保管し、必要に応じて市場に放出されるお米です。
長期間保管されるために風味が変わることがありますが、適切な保存・調理方法を工夫すれば、おいしく食べることができます。
炊き方の工夫や料理への活用を知ることで、備蓄米をもっとおいしく楽しむことができます。
ぜひ、これらの方法を試して、備蓄米を活用してみてください!